学部・研究科紹介

「できたらいいな」ができてしまう“情報科学”

人と社会と情報科学の最先端で、みんなが夢だと考えていることを実現します。

情報工学 知能工学
システム工学 医用情報科学

自分らしく研究して世界を驚かせたい。

高校の電子工作の実習で、自分で作ったプログラムが電子部品を動かすことにおもしろさを感じて、その興味が今も続いています。入学後、「イノベーション人材育成プログラム」の革新的ICT実践特別コースを知り、高度なプログラミングの授業を受けられると聞いて参加しています。1年生では線形代数や解析学といった数学的な分野、プログラミングの基礎などを学びました。2年生の基礎実験ではICTのシステムを作ったり、画像認識など人工知能に触れたりしました。高校生の時よりも自分で考える機会が増え、より高度なことにチャレンジできていると思います。ハードウェアに興味があり、コンピュータアーキテクチャを専門的に学んでいこうと思っています。まだ研究対象を決めていませんが、1年生の時にはC言語を本学科で開発しているCPUが動くコードに変換するコンパイラを作ってみました。製造された後でも機能を書き換えられるFPGAやCPUを動かすコードの作り方なども気になっています。学部を終えたら大学院に進んで、興味のある研究を突き詰めたいです。

情報工学科2年 大本 裕真さん
広島市立広島工業高等学校出身
※本ページの学年は取材時の学年です

ネットワークに接続した複数のコンピュータが分担して作業を行う「分散システム」の活用について研究しています。具体的には、ブロックチェーン(複数のコンピュータで暗号技術を用いて同期的に記録する手法)の脆弱性の発見や対策法の提案、クラウドシステムを利用した安全な分散処理などがテーマの中心です。身近になったインターネットは便利ですが、クラッキング(不正アクセス)や偽サイト、巨額の仮想通貨不正流出など、たびたび問題になっています。ネットクレジット決済では不安があるという人は多いのではないでしょうか。安全性を疑いながらのインターネット利用は不安で不便です。環境を整え、しっかりと安心・安全を守る技術を考え続けたいと思います。コンピュータの進展は私たちの社会を劇的に変えました。一方で安全・セキュリティの技術はまだまだ不十分なため、人材育成を含めて将来性のある研究分野です。卒業生はスーパーコンピュータ「京」や後継機「富岳」、次世代ゲーム機の開発など、業界の最前線で活躍しています。ぜひ自分を「磨けば光る原石」と信じて、可能性を伸ばしてください。

情報工学科
コミュニケーション講座
上土井 陽子 准教授


入学時はプログラミングの「プ」も知りませんでしたが、演習や実験を通して、3DCGや機械学習によるオセロの対戦などのプログラムを制作しました。卒業研究では、“社会に役立つ画像認識”をテーマに、「いきいき百歳体操」(高知で考案された健康体操)の支援システム構築に励んでいます。高齢者の方が自宅で一人であっても、この体操を楽しく行うことができるシステムがあれば、運動不足の解消や運動機能の衰退を防げるのではないかと考えたからです。このシステムでは、WEBカメラで認識させた自身の動きの速度や腕の正しい角度、関節の伸縮に対して正確さを判定し、エールやアドバイスを表示します。体操が楽しくてついやってしまうという習慣づけを目指し、正確さを得点化してゲーム性を持たせる工夫をしました。判定で利用する腕の正しい角度は、実際の動画や自身の動きを見ながら分度器で測って数値化するというアナログな手作業で、意外に大変でした。わからないことやできないことが出てきたら、自分がどうしたいのかを考えて、調べて、試しながら仕上げました。私が開発した「いきいきシステム」はこの体操のすべての動きに対応できていないので、後輩に引き継いでいきたいと思います。

知能工学科4年 内山 七香さん
広島県立祇園北高校出身

知能工学科知能メディアコース言語音声メディア工学研究室目良 和也講師

コンピュータの世界で最近ブームになっているのがA(I 人工知能)です。世界的に研究開発が過熱してきました。私は20年来、「人間の感情を理解するコンピュータ」を研究しています。その原点には日本のアニメ(特にロボットもの)のように、人間とロボットが幸せに共存できたらいいなという思いがあります。現在取り組んでいるのは、表情や声の調子から、感情や心理状態を推定するコンピュータの研究です。人がしょんぼりした顔で「大丈夫」「楽しい」と言われても、文字通りに受け取らず「本当に?」と返せる思いやりのあるコンピュータの実現をめざしています。SF映画の影響なのか、「感情を理解するコンピュータは不気味」という意見もありますが、これからはむしろ「感情を理解しないコンピュータ」の方が不気味に思われるのではないかと思います。2017年には、指導学生が「お世辞か、本音か」を判断するコンピュータの研究論文で国際ワークショップの最優秀論文賞を受賞しました。彼のように、自分が好きだと思えることをやり続けてほしいと思います。本学部を、どの分野に進んでも生きていける力、問題解決手段を探す力、知識を応用する力を身に付け成長する場にしてください。

知能工学科
知能情報学講座
目良 和也 講師


心地いい音があふれる社会に

豚に耳標センサを装着し、機械学習によって、人獣共通感染症であるパスツレラ肺炎の罹患を判定する研究をしてきました。センサが脈拍や動作振動から収集した信号データに、健康な豚と罹患した豚でどのような違いがあるのかを解析、スペクトログラムを作成しました。研究の過程で、感染するとスペクトログラムに現れる赤系統色の範囲が広がることがわかりました。感染が早期にわかれば、蔓延防止策が取れますし、畜産農家への感染も防げます。当初は機械学習やセンサのことをよく知らず、この研究がしたいという一心でした。先生方や先輩方に「こういうことをしたいのですが、どうすればいいですか?」と相談しながら研究を進めてこられましたし、実験のたびにセンサの形状や素材なども改良してきました。今はまだセンサの電池交換やメンテナンス、収集したデータの解析などを手作業で行っていますが、ゆくゆくはすべて自動化して判定するシステムを開発したいと思っています。

システム工学科4年 的場 悠基さん
広島県立尾道北高等学校出身

システム工学科人間・ロボット共生コース メカトロニクス研究室 小嵜 貴弘准教授

人が体に身に着け、重い荷物の運搬などを楽にできるようにするパワーアシストスーツ(PAS)の研究に取り組んでいます。私が対象にするのは、電気ではなく、感電する心配のない空気や水の圧力を動力源とするタイプ。「人と共存するロボット」の条件はやはり安全性だと考えているからです。腕の動きをアシストするタイプや、腰と膝を同時にアシストするタイプのPASの試作機を開発し、私自身が着用して補助効果を確認しました。少子高齢化がますます進み、今後は労働者不足になることが懸念されていることから、介護や工事現場などで作業者がPASを着用することで、人力で行う作業の効率化につながると期待しています。重さや価格など課題はいろいろありますが、将来は人の意図を認識し、人の動きとも協調でき、身体の一部のように動くPASの実現を目指して研究を続けています。高校でPASについて出前授業をしたとき、「親類にPASが必要な人がいる」「将来どう役立つのかがわかった」と言ってくれる高校生がいました。大学で取り組む研究では、身近なところで動機を見つけ、過去の研究よりも進んだことにチャレンジしてほしいと思います。

システム工学科
人間・ロボット共生講座
小嵜 貴弘 教授


早期卒業を希望して、3年次から研究を始めました。ろ紙で作ったペーパーマイクロ流路デバイス(μPAD)を用いて血液中のアミノ酸濃度を手軽に測ることで、がんや肝臓病といった病気の早期発見・治療、進行の診断に役立ててもらおうと考え、USBカメラによる精度の高いアミノ酸の比色検出技術の開発を目指しました。現在の測定装置では費用や時間の負担が大きいのですが、μPADは手のひらに載るサイズなので、家庭でも気軽に検査測定ができます。新型コロナウイルス感染症の簡易検査キットでも偽陽性・偽陰性が出ることがありますが、先行研究の解析式を部分的に改良して、もっと高い精度を引き出せる式はないかと探ってきました。いずれスマートフォンのカメラを使って、自宅で簡易に病気の診断ができる可能性もあります。情報科学部では先生方の専門領域の広さや層の厚さの下で、知らなかったことを理解していく過程が楽しかったです。学部を早期卒業して、大学院では自分の専門分野を確立できるように頑張ります。将来は医学や患者さんに研究開発の側から貢献したいと思っています。

医用情報科学科3年 兼定 諒さん
広島県・近畿大学附属広島高等学校東広島校出身

現在取り組んでいる研究の一つに、「凍結プローブ(上記写真)」の開発があります。凍結プローブとは、難治性てんかん患者の治療に必要とされる外科手術への応用を目指した新たな手術機器です。この凍結プローブは、てんかんの発生源である脳の領域をマイナス50度程まで急速に、低侵襲に凍結できる特長を有しています。我々は、他大学の医学部と共同で、てんかん治療としての凍結の有効性を、世界に先駆けて動物実験にて実証しました。将来的には、この手術法を確立し、場合によっては日帰り治療が可能となる未来の実現を目指しています。医用情報科学科は、我々人間の生活、健康、医療に直結する問題を、情報科学と医用生体工学をはじめとする様々な学問領域によって解決する面白い学科です。医用情報科学科には、バイオ情報学、医用画像工学、医用ロボット、脳情報科学、医用情報通信と5つの研究グループがあります。これら関連分野の研究を情熱と熱意をもって共に取り組んでもらえる皆さんの入学を心よりお待ちしています。

医用情報科学科
医用情報科学講座
常盤 達司 准教授

 各科コースと就職について

情報工学科
Department of Computer and Network Engineering
 ・コンピューティング講座
 ・コミュニケーション講座
 ・センシング講座

世界中のくらしやビジネスに必需のコンピュータとネットワーク。ハード&ソフト両面の技術の広範囲な教育・研究により、次世代の情報環境を創造する人材を輩出しています。

知能工学科
Department of Intelligent Systems
 ・データ科学講座
 ・人間情報学講座
 ・知能情報学講座

人間の知的なコミュニケーション&情報行動を支援する高度な知的情報システムの開発・研究を担う技術者を育成。3つの講座に共通する理論と実践の授業を充実させています。

システム工学科
Department of Systems Engineering
 ・人間・ロボット共生講座
 ・数理システムデザイン講座
 ・インタフェースデザイン講座

人間・コンピュータ・情報システムの調和を図り、広範な価値観のもとでユビキタス社会の実現に寄与する幅 広い視野をもつ創造的な技術者、研究者の育成を進めています。

医用情報科学科
Department of Biomedical Information Sciences

 ・医用情報科学講座


豊かで安心・安全な社会の実現を目指し、医療、生命、環境といった現代社会の諸問題に、既存の学問体系の枠を超えて取り組むことのできる人材の育成に力を注いでいます。